「工事の受注は順調なのになぜか儲からない」という悩みがある方はぜひご覧ください。仕事がまわっていると安心がちですが、赤字もしくは収益が少ない仕事を続けていると、最終的には負債しか残りません。「好きで赤字を出している訳じゃない」とお叱りを受けるかもしれませんが、虫歯と赤字体質に自然治癒はありません。赤字解消につながる拾い出しと見積の課題と業務改善のポイントをご説明します。
忙しいのに収益が伸びない・・・赤字の原因は拾い出しと見積?
工事件数は多く、忙しい毎日。社員は頑張ってくれているのになぜか儲かっていない・・・。
こんな悩みをお持ちの経営者様もいらっしゃるのではないでしょうか。赤字もしくは収益が少ない工事にはいくつかの原因が考えられます。よくあるのはこんな感じではないでしょうか。
①予定外のコストが発生した。
②赤字でも請けざるを得なかった。
③終わってみたら赤字だった。
①や②は少なくとも原因がはっきりしています。もちろん、原価管理や営業で赤字を解消する努力は必要ですが、やむを得ないと言ってよいケースでしょう。
しかし、③のケースが日常的に発生している場合は要注意です。受注したときに赤字になる予定はなく、トラブルもなかったのになぜか赤字になってしまう、これはかなり困った状況です。原因不明の赤字工事が頻繁にあると、慢性的な赤字体質になってしまうかもしれません。
予定外のコストが発生した訳でもないのに赤字になるのは、そもそも受注金額が低すぎる、もしくは材料や労務費などの原価計算のどちらかに問題がある可能性が高いです。
赤字の原因は、拾い出しと見積にあるかもしれません。
設備業の拾い出し業務で改善すべき課題
ご存じの通り、設備業の見積もりは拾い出しから始まります。適正な見積ができるかどうかは、拾い出しの精度にかかっています。この拾い出し作業の負担が大きく、図面から材料を読みこむソフトや拾い出し作業の代行サービスも登場しています。
なぜ、拾い出し作業はそれほどまでに負担になるのでしょうか。
ひとつにスキルの問題があります。拾い出しには、施工図を見て必要な材料や施工方法をイメージできるレベルの知識が必要です。つまり、拾い出しができる人は、その他にも“その人でなければできない”仕事を抱えている場合が多いのです。社長さんや現場代理人が、現場を終えてから深夜までかかって拾い出しや見積作成を行っているという話は、よく聞きます。
施工図から手作業で拾い出すのは非常に細かく煩雑な作業で、膨大な時間がかかります。そして、拾い出しの基準やノウハウが属人的になったり、ブラックボックス化してしまったりすることもあるようです。手拾いを行っている会社では、以下のような課題を抱えている場合が多いです。
また、拾い作業の精度の低さが赤字につながっている場合があります。拾い作業が正確でないと、適正な材料を積算できません。拾い漏れが多ければ、実際の材料費が見積よりも多くなり、赤字の原因になります。
▶ 拾い出しに時間がかかりすぎる。
▶ 拾い漏れや重複などのミスがある。
▶ 拾い出しができる人に業務が集中してしまう。
▶ 拾い出し作業の履歴が残らない。
▶ 拾い出しの基準に個人差がある。
設備業の見積り業務で、改善すべき課題
見積業務も拾い出しと同じく一定の知識が必要で、できる人が限られるため、同じような課題を抱えがちです。受注金額や利益に関わるものですから、拾い出しよりも高いレベルの経験値や知識が求められます。
しかし、経験が大事と言っても、あまりにも個人の経験や勘に頼って作成すると、他の人からは見積の根拠が把握しづらくなります。これが赤字を生む原因のひとつになっています。
▶ 見積作成に時間がかかりすぎる。
▶ 歩掛を調べるのが大変。
▶ 適正な労務単価の計算が難しい。
▶ 見積ができる人が限られる。
▶ 予算の計算方法に個人差がある。
業務改善のポイントは、拾い出しと見積の見える化
これらの課題を解決し、業務改善するポイントは拾い出しと見積を見える化することです。見える化によって、拾い出しや見積の基準や根拠を容易に把握できるようになり、赤字の解消が期待できます。
<拾い出しと見積の見える化によって実現できること>
◎ 拾い出し作業者や積算担当以外も見積の根拠を確認できる。
◎ 拾い出し、見積を標準化できる。
◎ 入札や価格交渉のデッドラインが明確になる。
<拾い出しと見積の見える化によって期待できる効果>
☆ 損をしない、利益を生む受注へ!
☆ 受注後の原価管理で利益の積み増しも!
☆ 業務ノウハウが蓄積・共有され、従業員のスキルアップも!
IT活用で拾い出しと見積の見える化を実現、さらなるメリットも
ここまで、ざっくりのご説明になりましたが、拾い出しと見積を見える化するメリットについては、ご理解いただけたと思います。では、どうすれば「見える化」を実現できるのでしょうか。
見える化の基本は記録を残すことです。拾い出しや見積の経緯を記録する書式や台帳を用意し、すべての案件を記入する必要があります。書式や台帳の形式を工夫すれば、履歴も管理できるでしょう。しかし、書式や台帳を作成してルールを決めて・・・かなり大変な作業です。
もっともシンプルに実現できる方法は、拾い出しや見積作成のソフトを使用することです。拾い出しソフトはCAD図面などから材料を拾い出すことができます。
見積ソフトは、材料や労務単価などの必要な情報を入力すると見積を作成する機能に加えて、積算に役立つ建設物価調査会の単価データベースや材料マスターなどのオプションが用意されています。さらにこんなメリットがあります。
メリット:拾い出し、見積が半自動化される
→ 見積の精度が向上する(拾い出し、積算ミスの削減)
→ 拾い出しや見積を標準化できる(作成者によるバラツキがなくなる)
→ 経験が浅い若手や事務職員に作業の一部を分担できる
メリット:拾い出し、見積作業の時間を短縮できる
→ 図面スキャン後の拾い作業は図面1枚当たり15分程度から
(※材料拾い集計ソフト「拾いEX」の例)
→ 拾い出し、見積の作業時間を40~60%短縮
(※材料拾い集計ソフト「拾いEX」、⼯事積算⾒積システム「本丸EX」連携の例)
→ 業務負荷が軽減し、残業代の削減や他業務が充実する
拾い出し、見積を業務改善して赤字解消へ
拾い出しと見積の業務改善とシステム活用のメリットについて、ご紹介しました。
繰り返しますが、虫歯と赤字体質に自然治癒はありません。赤字体質を放置した分だけ、マイナスが積み重なっていきます。慢性的な赤字でお悩みの場合は、まずは拾い出しと見積から見直されてはいかがでしょうか。
拾い出しと見積を業務改善することで、受注前から工事原価が明確になり、収益をコントロールしやすくなりますIT化により、これまでと同じか少ない労力で、より大きな利益を生み出せる可能性があります。投資したコストを超えるメリットが期待できます。
そして、これらの生産性向上につながるITツールは、IT導入補助金の対象になります。今がチャンスです!
<IT導入補助金2021>
2次締切分 締切日:7月30日(金)17時(予定)/交付決定日:8月31日(火)
3次締切分 締切日:9月中(予定)/交付決定日:10月中
・材料拾い集計ソフト「拾いEX」 ・⼯事積算⾒積システム「本丸EX」