少子高齢化やコロナ禍による人手不足は、設備業を含む建設業界にも影響を及ぼしています。建設業に限られることではありませんが、今後は人材難による事業縮小や廃業も増えるという予測もあります。もちろん、設備業でも人材確保は事業継続の生命線です。人材採用のノウハウがないとお困りの経営者様のために、人材確保に必要な採用広告、面接、定着化の基礎知識を解説します。
目次
-人手が足りない!人材採用はどこから始めればいい?
①会社一丸となって取り組む社内の意識づくり
②採用の体制づくり、社長以外の採用担当を置く
③求める人材像の洗い出し
④自社が選ばれる会社であるかを確認する
-人材確保に成功する会社の特徴
【人材確保のポイント①】自社の思いだけではダメ!採用広告は比較されている
【人材確保のポイント②】面接で選ぶ前に人材に“選ばれる”ことが必要
【人材確保のポイント③】穴の空いたバケツにならないための定着化
-「働きやすい環境づくり」で人材確保を成功させよう!
人手が足りない!人材採用はどこから始めればいい?
少子高齢化の影響で、建設業界の人材確保はさらに厳しい状況になっています。建設業界以外でも、人手不足による事業縮小や廃業を考える会社が増えており、企業規模や業種業界を問わない、人材の争奪戦となっています。
特に、人材採用のノウハウがない中小企業が苦戦しています。そして、採用がうまくいかない会社ほど、いきなり求人媒体を選び、募集広告を出そうとする傾向があります。採用成功の決め手となるのは求人媒体ではなく、募集広告を出す前の準備です。募集広告を考える前に考えるべきポイントを紹介します。
①会社一丸となって取り組む社内の意識づくり
中小企業では、経営者が人材採用を担当している会社も多いです。社長自ら取り組むのはとてもよいことですが、志望動機の形成やミスマッチ回避には社員との交流が効果的です。社内で採用について話し合い、会社全体で取り組む意識を共有し、必要に応じて採用プロセスにも協力してもらいましょう。
②採用の体制づくり、社長以外の採用担当を置く
応募者から見て、レスポンスが早く、小まめに連絡をくれる企業はそれだけで好印象です。他業務との兼務で問題ありませんので、受信日の営業時間内に受領確認だけでも返せる体制を整えましょう。また、応募者は求人広告の細かい部分を見ており、社長と採用担当が同じ名前であることにも気づきます。採用担当は会社の第一印象に直結します。レスポンスの向上と同時に、社内体制のアピールにもなります。求める人材像に近い年齢の社員や共感や好印象を抱かれやすい人選がベターです。
③求める人材像の洗い出し
「優秀な人材」を求めない企業はありません。しかし、どんなに優秀な人材でも、ミスマッチがあれば能力を発揮できずに退職してしまいます。自社の仕事に必要な適性があれば、それ以外の部分で高い能力がなくても、自社で活躍できる人材に育てられる可能性があります。「優秀な人材」の条件は、募集職種やポジション、そして会社ごとに異なります。採用活動で最初に着手すべきは、「求める人材像」の要件を具体的に洗い出すことです。
④自社が選ばれる会社であるかを確認する
採用というと応募者を選ぶことを意識しがちですが、これも採用がうまくいかない原因の一つです。どの会社に応募するかを決めるのは応募者であり、最終的に入社を決めるのも応募者です。選ぶより先に、応募者に選ばれることが採用成功の最重要課題です。自分の会社が応募者にとって魅力的か、選ばれる会社であるかを確認しましょう。
<ここまでのポイント>
・採用を成功させるためには、募集を始める前の準備が重要!
・まずは、求める人材像の洗い出しと社内体制の見直しから!
人材確保に成功する会社の特徴
人材確保に成功する会社にはいくつかの共通する特徴があります。上位に上がってくるのは、主にこの5つです。ほぼすべての応募者が、「将来への不安がなく、働きやすい環境」と「より良い条件」を求めています。
「環境や待遇では大手に勝てないからムダ」と思われるかもしれませんが、「求める人材像」が会社ごとに異なるように、「より良い条件」の基準にも個人差があります。業種業界を問わず、人材を大切にし、誠実な情報開示をしている会社が人材確保に成功しています。
<人材確保に成功する会社の5つの特徴>
①わかりやすく、誠実に、情報開示されている
②働きやすい環境である(労働環境、福利厚生など)
③社内の人間関係が良好である
④人材育成や教育に積極的に取り組んでいる
⑤安定性、将来性が感じられる
【人材確保のポイント①】自社の思いだけではダメ!採用広告は比較されている
採用と言えば、求人広告ですね。求人広告は求職者との最初の接点で、他者と差別化するチャンスでもあります。奇をてらう必要はありませんが、使いまわしの定型文や陳腐化した表現では、膨大な求人広告の中に埋もれてしまいます。
求職者は、多くの求人広告を比較検討して応募する企業を探します。特に若手では複数の業種を検討する人が多く、競合するのは同業他社だけではありません。異業種の魅力的な採用広告を参考にして、自社の個性を伝える求人広告をめざしましょう。
掲載上位枠を使えば、より高い効果を期待できますが、掲載料は高額になります。安価な掲載枠でも、募集広告と自社のホームページやSNSを連動させるなどの工夫次第で、効果を高められる可能性があります。ターゲット(求める人材)の興味や関心にささる表現を用いるなど、応募人数は少なくても高いマッチングをめざす方法もあります。
採用媒体としては、ブランディングやスカウトに強みを持つ求人媒体が注目されています。大手求人サイトでは埋もれがちな中小企業でも、自社の個性をアピールできるメリットがあります。これらの媒体は、大手求人サイトと比較すると料金がリーズナブルである点も魅力のひとつです。
Wantedly
https://www.wantedly.com/projects
Wantedly事例
デザイナーやエンジニアの登録者が多い媒体でも、建設業での成功事例があります。
https://www.wantedly.com/customer_stories/143note
また、大手企業からベンチャーまで差別化のための採用広報に力を入れており、経営者からのメッセージや社員インタビュー、仕事のエピソードなど、会社の雰囲気を伝えるコンテンツを充実させています。noteなどの無料から利用できるプラットフォームを採用広報に活用する企業も増えています。
note
https://note.com/
【人材確保のポイント②】面接で選ぶ前に人材に“選ばれる”ことが必要
応募者は、常に企業を “逆選考”しています。特に面接では、面接者(経営者)の言動や態度、社内の雰囲気など、すべてがチェックされています。面接は、選ぶより先に選ばれるためのアクションと考えましょう。
一方で面接こそ、小さな会社が大企業に勝てる最大のチャンスでもあります。対面型の面接にこだわらず、どうしても採用したい応募者には、会社ぐるみで口説き落とすのもアリです。小回りの良さを生かして、自社の魅力をアピールする機会にしましょう。そのためには、“選ばれる会社”としての要素を整えておく必要があります。
【人材確保のポイント③】穴の空いたバケツにならないための定着化
採用してもすぐ辞めてしまう、というお悩みも多いです。早期離職の最大の理由は、入社後のギャップ、いわゆる「面接で聞いた話と違う」というミスマッチです。ミスマッチによる離職を回避するには、入社前に、良い部分とあわせて、不足している部分についても可能な限り伝えることです。
また、経営者への共感や目標となる社員の存在が離職を踏みとどまらせる場合は多いです。指導を行う先輩社員や上司の人材育成も大切です。せっかく採用した人材を定着させるために、会社全体で受け入れる空気を作り、個性に合わせた適切なサポートを行っていきましょう。
<ここまでのポイント>
・求職者は、人材を大切にし、誠実な情報開示をしている会社に魅力を感じる。
・自社の個性を発信する工夫によって、広告費用を抑えながら効果的な露出ができる。
・面接では選ぶよりも、“選ばれる”ことを優先する。
・早期離職を防ぐため、良いことだけでなく、足りない部分も今後の課題として伝えていく。
・採用活動に社員をまきこんで、会社全体で受け入れる空気を作る。
「働きやすい環境づくり」で人材確保を成功させよう!
かねてより、設備業、建設業に流入する人材は少なく、慢性的な人手不足が長く続いてきました。今後ますます、少子高齢化による労働人口の減少は進みます。人材確保と同時に、業務効率化や生産性向上の努力は不可欠となります。
そのために国策として推進されているのが、DX化です。DX化やリモートワーク導入で、働きやすい環境を整えることで、中小企業でも人材確保のチャンスにつなげられます。
加えてプラス材料となるのは、コストがかからない情報発信の普及と価値観の多様化です。莫大な費用をかけなくても工夫次第で、自社にマッチする人材との出会いを作りやすくなり、画一的な大手志向から離れ、自分らしいライフスタイルを求める人が増えています。
選ばれる会社になるための「働きやすい環境づくり」を戦略的に行い、人材確保を成功させましょう!