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  4. 残業時間の上限規制、建設業の適用迫る!勤怠管理、就業規則は大丈夫?

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建設業への残業時間の上限規制の適用が迫っています。働き方改革の「労働時間の客観的な把握」に対応するため、中小規模の建設業者でも勤怠管理システムが導入され始めています。その結果、曖昧だった勤務時間や有給休暇付与の問題が浮き彫りになる会社が増えています。テレワークを導入する場合にも就業規則や社内規程の改定が必要です。勤怠管理の注意点、労務管理や給与計算の負担軽減について解説します。

目次
-【再確認】残業時間の上限規制と労働時間の客観的な把握
(1)2024年から建設業にも適用!残業時間の上限規制を再確認
(2)雇用者に義務化!「労働時間の客観的な把握」とは
-テレワーク導入にも就業規則や社内規程の整備が必要
-残業時間の管理は勤怠管理から!注意すべきポイント
(1)時間外労働の定義とルールは「36協定」
(2)切捨てはNG!労働時間の丸めは要注意
(3)パート、アルバイトにも有給休暇の付与ルール
-残業時間の上限規制だけじゃない?働き方改革関連法の罰則
-労務管理、給与計算の負担軽減から始めるDX
-勤怠管理システム導入を事務作業の効率化に!

【再確認】残業時間の上限規制と労働時間の客観的な把握

2019年4月、働き方改革関連法が施行されました。2024年4月から建設業でもいよいよ適用されます。特に影響が大きい残業時間の上限規制について再確認しましょう。

(1)2024年から建設業にも適用!残業時間の上限規制を再確認

建設業は災害の復旧・復興事業を除いて、他業種と同じ上限規制が適用されます。特別な事情がある場合は労使の合意を前提に上限を超えることが認められますが、あくまで臨時的な措置であり、合意があっても年間720時間、月100時間未満の上限があります。さらに月45時間の上限を超えてよいのは年間で6ヶ月までです。

<原則的な残業時間の上限> ※休日労働を含む

1ヶ月当たりの上限45時間月20~22日の勤務で1日あたり2時間程度
1年間の上限360時間1ヶ月あたり30時間

<臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合の上限> ※休日労働を含む

1年間の上限720時間まで1ヶ月あたり120時間
1ヶ月当たりの上限100時間未満2~6か月平均80時間以内
2~6ヶ月の平均80時間まで月20~22日の勤務で1日あたり4時間程度

参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)

(2)雇用者に義務化!「労働時間の客観的な把握」とは

原則、月45時間を超えないよう管理するのが雇用者の義務であり、客観的かつ適切な方法での労働時間の把握が求められます。残業手当がつかない管理監督者や裁量労働制の適用者の労働時間も把握し、過重労働者には医師の面談指導を受けさせる必要があります。

EXCELなどで作成した勤務表を使用している会社も多いと思いますが、自己申告型の勤怠管理は客観的とは認められません。恣意的に変更できないもしくは変更履歴が残る方法で把握し、3年間は記録を保存しなければなりません。

<客観的な労働時間の把握の方法の例>
・タイムレコーダー、ICカード、ITツールによる打刻
・入退室履歴、PCのアクセスログなど

参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

<ここまでのポイント>
・原則は月45時間が上限、労使の合意があれば臨時的に超えるのは可
・労働時間の客観的な把握とは、恣意的に変更できないもしくは変更履歴が残る記録方法

テレワーク導入にも就業規則や社内規程の整備が必要

建設業でもテレワークを導入する会社が増えています。現場などの外出先や自宅で事務作業ができれば事務所に戻る移動時間を減らし、スキマ時間を活用できて残業時間の削減につながります。

一方、テレワークで勤怠管理が曖昧になり、会社が把握できない過重労働が問題になっています。会社にはテレワークの労働状況も管理する義務があります。テレワークの勤務形態、指揮命令などを明確に定め、それに基づく勤怠管理などのルールを作らなければなりません。

<ここまでのポイント>
・テレワークを導入する場合は就業規則や社内規程の整備が必要
・テレワークの勤務形態と指揮命令、勤怠管理などのルールを定める

残業時間の管理は勤怠管理から!注意すべきポイント

適正な就業規則や勤怠管理のルールが適切な労務管理の大前提です。勤怠管理の注意点について解説します。

(1)時間外労働の定義とルールは「36協定」

ほとんどの会社は36協定を締結していると思いますが、法改正にあわせて再締結が必要になります。所定労働時間や勤務形態を就業規則や規程で定義し、雇用契約書に明記して合意します。中小企業では労務管理の基準となる就業規則や規程がなかったり、従業員に周知されていなかったりします。心当たりがあれば早急に改善しましょう。

(2)切捨てはNG!労働時間の丸めは要注意

以前は給与計算を楽にするために切りのよい5分単位などで労働時間を丸める会社がありましたが、実は違法です。労働時間は1分単位の計算が原則で、日ごとに労働時間を切り捨てる指示はNGです。数字を丸めたい場合はすべて切り上げるか、1ヶ月の時間外労働、休日、深夜労働の合計時間数の1時間に満たない時間の30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げる方法は認められます。

会社が指示する清掃作業や更衣、朝礼などは業務に該当しますので、その分も労働時間としてカウントする必要があります。たとえば、営業開始前に制服に着替える必要がある場合は、従業員の勤務時間を前倒ししないと時間外労働の扱いになります。

(3)パート、アルバイトにも有給休暇の付与ルール

有給休暇取得の義務化により、取得状況の管理が必要になります。有給休暇付与のタイミングや未消化の有給休暇の扱いも明確にしなければなりません。パートやアルバイトも所定労働時間が週30時間以上、週5日以上、年217日以上のいずれかを満たせば有給休暇の権利が発生し、取得義務の対象になります。

<ここまでのポイント>
・残業時間が月45時間を超える可能性があるなら36協定は必須
・日ごとの労働時間を切り捨てるよう指示するのは違法
・有給休暇の付与や未消化分の繰り越しなどのルールが必要

残業時間の上限規制だけじゃない?働き方改革関連法の罰則

改正法で違反に対する罰則が設けられました。それほど大きな罰金ではありませんが、刑事罰ですから経営者は前科者になり、会社の信用も失墜します。高度プロフェッショナル制度や同一労働同一賃金の違反は行政罰である過料が科されます。

罰則の対象罰則(刑事罰)
時間外労働の上限規制6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
60時間以上の時間外労働の割増賃金を50%以上に6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
フレックスタイム制の清算期間の伸長・届け出義務30万円の罰金
過重労働者、高プロ対象者への医師の面接指導50万円以下の罰金
年次有給休暇5日以上の取得義務30万円以下の罰金

<ここまでのポイント>
・残業時間の上限規制などに違反すると刑事罰を受ける可能性がある
・罰金でも経営者は前科者、会社の信用が失墜する

労務管理、給与計算の負担軽減から始めるDX

残業時間の上限規制など、しっかり労務管理を行わないと問題になることはご理解いただけたでしょうか。労働時間の記録があっても管理者が勤務状況を認識しなければ、労働時間の客観的な把握とは認められません。

残業時間の上限を超えないよう管理するには、月締めだけでなく、月の途中で労働時間を集計し、従業員全員をチェックして仕事量を調整しなければなりませんが、手集計でまとめるのはかなり大変です。残業時間を減らす取り組みのために、残業が増えるという笑えない状況になるでしょう。

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勤怠管理のデジタル化は、勤怠管理から現場管理、原価管理、労務管理、給与計算のDXの始めの一歩になります。

<ここまでのポイント>
・残業時間の上限を超えないための管理には月締めの集計では足りない
・勤怠管理システムは集計作業を省力化でき、他業務にもデータを活用できる

勤怠管理システム導入を事務作業の効率化に!

建設業への残業時間の上限規制の適用が迫ってきました。まだ大丈夫と思っていませんか?
2024年4月までに就業規則や社内規程の見直しと勤怠管理システムの選定から導入、運用する体制を整えなければなりません。一刻を争う状況ではありませんが、先送りすると余裕がなくなります。間際になってからでは余分な費用がかかる可能性もあります。

まずは、毎月の労務管理や給与計算にかかっている時間を調べてみませんか。労務管理をすべて手作業で行おうとすると、かなりの手間と時間がかかります。社長自ら現場に出ている会社では、生産性向上を考えるときに現場関連の業務を優先しがちです。でも、勤怠管理システム導入で事務員さんの負担が軽減すれば、空いた時間を現場管理のサポートにまわすこともできます。

働き方改革への対応で勤怠管理システムの導入が必須になるこの機会に、労務管理や給与計算のDX化を考えてはいかがでしょうか。


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