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2025年、建設業界のデジタル化はさらに加速し、重要な転換点になると見られています。でも、どこかで「うちの会社には関係ない」と思っていませんか?2025年中に施行される改正建設業法に適切に対応しようとすると、デジタル化を避けて通れないだけでなく、デジタル化の遅れが競争力の低下につながります。
「デジタル化について考えられていない」という会社も、今からでも充分に間に合います!中小建設業がデジタル化を成功させるポイントと具体的な取りくみ方を解説します。
目次
-デジタル化に出遅れている?まだ間に合います!
・建設業界のデジタル化の現状
・中小建設業者のデジタル化への着手は今がベスト?!
-法改正、補助金、2025年はデジタル化のビッグチャンス
-デジタル化は「現場ファースト」の経営改革
・建設業のデジタル化で重要な「現場ファースト」の視点
・建設業のデジタル化は段階的なアプローチが効果的
-「成功した同業のまねをする」デジタル活用の事例
・「成功した同業のまね」が効率的な理由
・中小建設業のデジタル活用の事例
-遅れているからこそ、デジタル化の効果は大きい
建設業界のデジタル化の現状
建設業界は他産業よりデジタル化が遅れていると言われていますが、大手ゼネコンを中心に着実に進んでいます。
たとえば、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の普及により、設計の精度や情報共有が向上し、建設プロセスの効率化を図れます。3Dの設計データを、VR(仮想現実)とAR(拡張現実)で可視化することで設計への理解が深まり、工事の品質向上が期待できます。若手作業員の教育訓練にも利用できます。また、ドローンやIoT活用で高所などの危険な作業を減らしつつ、正確なデータを収集できるようになり、安全性向上と作業時間の短縮を両立できます。
これらのデジタル活用を支えるのがクラウドコンピューティングです。クラウド上でさまざまなデータが一元的かつリアルタイムに共有されることで、工事現場とバックオフィスがつながり、会社全体の業務がスムーズになります。
中小建設業者のデジタル化への着手は今がベスト?!
一方、中小規模の設備業では「IT人材の不足で手が回らない」「コストがかかりすぎる」といった理由で、デジタル化に消極的な企業もあります。
改正建設業法が施行される2025年は、デジタル化に着手するベストなタイミングと言えます。
デジタル化が先行している発注者が取引先にデジタル対応を求め始めると考えられ、法改正と連動して補助金など公的支援の充実が期待できるからです。
さらに先行企業の成功事例や失敗例が蓄積されているため、それらを参考にすることで効率的に導入できるでしょう。デジタル化による生産性向上の効果は、紙ベースの報告をスマートフォンのアプリに置き換えただけでも期待できます。また、中小建設業のデジタル化が遅れていることもプラス材料のひとつです。すぐにデジタル化に着手すれば、先行者になれる可能性があり、今からでも充分に競合への優位性を期待できます。
参考記事:デジタル化で解決できる?設備業のリスクと収益の伸び悩み
<ここまでのポイント>
・中小規模ではデジタル化に消極的な会社も多い。
・先行企業の成功事例や失敗例を参考にすることで効率的に導入できる。
法改正、補助金、2025年はデジタル化のビッグチャンス
改正建設業法により、建設業の許可申請手続きや経営事項審査手続きの電子化が本格化します。また、資材高騰のしわ寄せ防止や労務費確保のために必要となる見積の透明性確保や原価管理は、Excelや手集計ではかなり難しいでしょう。中小規模の建設業者でも積算見積や原価管理システムが必要になり、改正建設業法の施行が建設業界全体でのデジタル化・DXを促すことが予想されます。
建設業のデジタル化を支援するさまざまな補助金制度が用意されています。たとえば「ものづくり補助金」は新サービスや製品開発、生産プロセス改善のための投資が対象となり、建設業の採択例も増えています。また、おなじみの「IT導入補助金」は生産性向上に資するソフトウェアやデバイスの購入に活用できます。こういった公的支援の活用で、初期投資の負担を大幅に軽減できます。
参考記事:建設業法の改正でどう変わる?設備業の原価管理効率化のポイント
参考記事:初心者必見!【2024年 助成金・補助金】探し方から審査対策まで
<ここまでのポイント>
・改正建設業法で建設業界のデジタル化が促進することが予想される。
・公的支援の活用で、初期投資の負担を大幅に軽減できる。
デジタル化は「現場ファースト」の経営改革
建設業のデジタル化で重要な「現場ファースト」の視点
建設業のデジタル化で重要なのは、「現場ファースト」の視点です。現場で働く従業員の負担を軽減することを第一に考え、身近な課題解決から始めるのが成功への近道です。その際、現場の意見を取り入れることが重要です。経営側の「あるべき論」だけで進めようとすると軋轢が生まれやすくなります。
たとえば、勤怠管理や工事日報など、毎日発生する事務処理が便利になると、全員の作業時間を短縮できます。簡単にできるようになれば報告の不備や遅延が少なくなり、管理業務にもプラスになります。また、施工管理者の業務をデジタル化することで、書類作成などの事務作業の負担を大幅に減らせます。
リアルタイムの情報共有とビデオ通話の活用で別の現場にいながら的確な作業指示や指導ができたり、事務処理の一部を社内にいる事務職が肩代わりしたりできるようになります。施工管理者が現場での役割に集中できるようになれば、工事全体の効率もアップするでしょう。
参考記事:クラウドとモバイル活用で変わる!工事管理の効率化と生産性向上
建設業のデジタル化は段階的なアプローチが効果的
「現場ファースト」の視点と同じくらい大切なのが「段階的なアプローチ」です。いきなり全社的なシステム導入をめざすのではなく、優先順位の高い業務から着手して、段階的に業務プロセス全体に広げていくスモールスタートがおススメです。
デジタル化・DX導入で仕事が増えたり、慣れた手順が変わったりすることに抵抗を感じる人も多いです。身近な困りごとから解決していく「現場ファースト」の視点と、変化を小さくする「段階的なアプローチ」によって、現場の理解と協力を得やすくなります。
<段階的なデジタル化のイメージ>
①現場の困りごとを洗い出す 例)書類作成に時間がかかる、情報共有が遅れるなど
②現場の意見を取り入れながら、優先順位を決める
③導入するシステムを選定し、それに合わせた業務フローを決める
④期間を決めて、一部の部署、現場などにトライアル導入する
⑤トライアルの効果を検証し、改善点を洗い出す
⑥改善点を反映して全体に導入する
⑦導入効果を検証し、改善する
参考記事:【7分でわかる】DXが失敗する原因と成功の鍵となる「業務の棚卸し」
<ここまでのポイント>
・身近な課題解決から始め、現場の意見を取り入れる「現場ファースト」の視点が重要。
・優先順位の高い業務から、段階的に業務プロセス全体に広げるスモールスタート推奨。
「成功した同業のまねをする」デジタル活用の事例
「成功した同業のまね」が効率的な理由
デジタル化・DXを効率よく進める方法のひとつが、デジタル化に成功した同業他社の取り組みをまねることです。同じ規模の同業者であれば、人手不足や採用の難しさ、法制対応といった課題や悩みが共通する場合が多いです。
それらをどのような方法で解決したのか、導入したシステムの使い勝手、導入前後のアクシデントなどが事前にわかれば、回避しやすくなります。自力で多くの情報を収集するのは難しいですが、システムを販売する会社は、導入支援を通してこれらのノウハウを蓄積しています。
導入実績が豊富で、設備業の業務を理解しているシステム会社に相談することで、効率よく「成功した同業のまね」ができ、デジタル化の失敗リスクを下げられます。
中小建設業のデジタル活用の事例
現場終わりに事務所のパソコンで作成している報告書や作業日報を、モバイルデバイスに置き換えるだけでも利便性は向上します。たとえば、事務処理のための帰社を減らせて、無駄な移動や残業時間を削減できます。
現場写真の管理や勤怠・作業日報などは、比較的少ない費用で導入できるシステムが充実しており、現場の社員が導入効果を実感しやすいため、“デジタル化・DXのはじめの一歩”に向いています。スマートフォンなどでベテラン職人の作業を動画で撮影し、若手の研修教材として活用するなど、コストをかけずに、手軽にできるデジタル活用もあります。
設備業のデジタル活用の成功事例として、こうじやさんシリーズの導入事例を紹介します。
<石田データサービス製品導入事例>
こうじやさんシリーズ導入事例 株式会社セイコー様(工事原価管理、作業日報)
こうじやさんシリーズ導入事例 株式会社ナベカン様(拾い出し、積算見積、工事原価管理)
こうじやさんシリーズ導入事例 エコー防災株式会社様(建物管理・スケジュール管理)
参考記事:中小企業はデジタル化で成長する!失敗事例と活用例を紹介
<ここまでのポイント>
・設備業の導入実績が豊富な会社に相談することで「成功した同業のまね」ができる。
・社員にとって身近で効果を実感しやすいシステムから始めるとよい。
遅れているからこそ、デジタル化の効果は大きい
中小建設業のデジタル化に、はじめから大規模なシステムは必要ありません。日々の勤怠管理や作業日報の作成がスマートフォンでできるようになるだけでもデジタル化の効果を実感できるでしょう。中小企業のデジタル化・DXがうまくいかない原因のひとつに、社員の苦手意識や仕事のやり方が変わることへの抵抗感があります。ごく身近な課題解決で成功体験を積み重ねることで、デジタル化・DXへの心理的なハードルが下がります。
デジタル化の着手が遅れていても、デメリットばかりではありません。先行企業の成功事例を参考にでき、より効率的な導入が可能になりますし、充分な導入効果を期待できます。
2025年の建設業法改正は避けて通れない課題であると同時に、デジタル化に着手する絶好のタイミングと言えるでしょう。IT導入補助金などの公的支援も充実していますので、まずは身近な課題解決から、デジタル化への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。