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 2021年4月に経営事項審査が改正され、技術者及び技能者の継続的な教育を評価する項目が新設されました。従業員への研修を行った実績が経営事項審査の評点に加算されるようになりました。その基準となるのがCPD単位の取得数です。経営事項審査の評点がアップすると入札に有利になります。CPD単位の取得方法や無料のCPD講座を紹介します。

目次
-CPDとは
建設業CPDの概要
設備業の技能者向けのCPD
-CPDのメリットは経営事項審査の加点
-CPDの単位を取得するには
建築CPD情報提供制度の対象
建築CPD情報提供制度の新規参加登録から単位取得まで
-無料でCPD単位を取得できる講座
-技術者、技能者の育成を支援するCPD制度

CPDとは

CPD(Continuing Professional Development)は、継続的な技術の向上を図るためのプログラムで、日本語では「継続技能研修」という意味になります。建設関係の資格は更新制ではなく、資格取得後に新しい知識を習得しなくても、有資格者として仕事を続けられます。CPDは、資格取得後のスキルアップと建設技能者の能力向上をめざすものです。建設業の複数団体が研修を受講した個人に単位を付与するCPD制度を運営しています。建設業のCPD制度の概要と設備業向けのCPDについて解説します。

建設業CPDの概要

建設業には設計、建築、土木など、対象となる職種や設立目的が異なる業界団体がいくつもあります。この中のいくつもの団体が会員向けのCPD制度を運営しており、団体ごとに単位を認める基準にバラツキがありました。

団体ごとの格差を解消する目的で、2003年7月に建設系CPD協議会が設立されました。単位認定の基準や付与対象となる講習の形態などを統一し、各団体が付与する単位を相互認証できる制度をめざすものです。しかし、現在は各団体の独自ルールが尊重されており、CPD単位の換算や登録が認められない場合もあります。

CPD単位の対象となるのは、資格取得後の研修や技能や技術を向上させる目的の講習です。講習会の受講費用の負担が大きい、地方開催の講習が少ないなどの課題もあります。

参考:建設系CPD協議会のホームページへようこそ! (cpd-ccesa.org)

設備業の技術者向けのCPD

 公益財団法人 建築技術教育普及センターは、建築士、建築設備士等のための建築CPD(継続能力/職能開発)情報提供制度を運営しています。建築CPD情報提供制度の実績は、国や地方公共団体のプロポーザル方式、総合評価方式における、管理技術者、担当技術者等の評価に関する判断基準として採用されています。

講習会の開催予定などは、建築技術教育普及センター、日本建築家協会、日本建築士会連合会、建設業振興基金が共同運営するCPD情報システムから検索してみるのがおススメです。

参考:建築CPD(継続能力/職能開発)情報提供制度 建築技術教育普及センターホームページ (jaeic.or.jp)
参考:公益財団法人 建築技術教育普及センター / 公益社団法人 日本建築家協会 / 公益社団法人 日本建築士会連合会 CPD情報システム (jaeic-cpd.jp)

<ここまでのポイント>
・建設業ではいくつもの団体がCPD制度を運営している。
・認定基準などにバラツキがあり、単位換算ができない場合がある。
・設備業には、建築関係の複数団体が共同運営するCPD情報システムが向いている。

CPDのメリットは経営事項審査の加点

皆様もご存じの通り、2021年4月に経営事項審査が改正されました「知識及び技術又は技能の向上に関する取組」が加点項目として追加されています。CPD単位取得によって経営事項審査の評点がアップします。加点対象となるのは所属する技術者(監理技術者、主任技術者の有資格者、一級技士補及び二級技士補)が取得したCPD単位取得数と技能レベル向上者の人数です。従業員への教育を経営事項審査の評点に反映させるには、建設キャリアアップシステムとCPD制度への登録が必須です。

その他に、自治体ごとの評価項目としてCPDが採用されており、総合評価の加点対象や工事入札参加条件になっています。自治体ごとのCPD活用はホームページなどで確認できます。

参考:経営事項審査の主な改正事項(令和3年4月1日改正)スライド7

<ここまでのポイント>
・CPD単位取得によって経営事項審査の評点がアップする。
・加点によって、入札機会の増加、落札率が高まるなどのメリットがある。
・受講前にCPD制度への参加登録と建設キャリアアップシステム登録が必要。

CPDの単位を取得するには

CPDの単位を取得するには、CPDを運営する団体の会員になる必要があります。それぞれの団体のホームページなどに詳しい説明がありますが、ここでは建築CPD情報提供制度(運営:建築技術教育普及センター)を例にして、CPD単位を取得するまでの流れを紹介します。どの団体でも、原則として単位は後付けできないため、必ず受講申し込みの前に参加登録を済ませましょう。

建築CPD情報提供制度の対象

以下の資格保有者が対象となります。
・建築士
・建築設備士
・建築施工管理技士・技士補
・電気工事施工管理技士・技士補
・管工事施工管理技士・技士補

建築CPD情報提供制度の新規参加登録から単位取得まで

①新規参加登録
法人、個人のいずれかを選び、ホームページの新規登録申請のフォームに必要事項を登録します。 法人、個人の違いは、登録手数料の請求先、CPDを会社側で管理できるかです。法人で登録すると複数名を同時に参加登録でき、手数料を一括請求にできます。

新規参加登録 <個人>

法人登録申請フォーム
法人登録完了後、「社員一覧(新規参加申請書)」を、jsk-cpd@jaeic.or.jp宛てに送信します。
社員一覧(Excel:69KB)のダウンロード

②メールにて通知される振込先に、参加登録手数料3,300円(税込)を支払います。
※プラスチックカード発行を希望する場合は別途1,100円。

③登録完了後(1週間程度)、メールにてCPDID等が通知されます。
CPD情報システムの「認定プロラグム」で検索します。受講したい講習に、CPD IDを使用して申込みます。プロバイダー(講座運営者)、開催形式によって手順が変わります。

認定プログラムの検索はこちら

④受講後、CPD単位の取得が認められます。
取得した単位は運営団体のシステムで管理されます。実績証明書などを発行できます。
会社登録すれば社員の単位を管理できます。

<ここまでのポイント>
・CPD単位は後付けできないので、受講申し込みの前に参加登録が必要。
・CPDの参加には入会金や年会費などの費用がかかる。

無料でCPD単位を取得できる講座

さまざまなプロバイダー(講座運営者)が、CPD単位を取得できる講習会を開催しています。受講費用も少し高めのものから、無料で受講できる講座もあります。

石田データサービスでは、設備業の業務改善やスキルアップにつながるマネジメント分野のCPD講座を、オンラインで開催しています。内容によりますが、所要時間は1~2時間程度ですので、現場のスキマ時間にも参加できます。貴社のお悩みを解決するヒントが見つかると同時に、経営事項審査の評点アップさせるチャンスです。

<石田データサービスのCPD認定プログラムの例>
◎拾い出し・見積業務の改善ポイント
◎原価管理・請求管理の改善ポイント
◎防災点検業務におけるトータル管理
◎公共営繕工事積算の基礎知識

石田データサービスのCPD認定プログラムの詳細はこちらでご覧になれます。
Webセミナー(CPD取得)

<ここまでのポイント>
・石田データサービスは設備業向けのCPD講座(無料)を開催している。
・所要時間1~2時間程度、オンライン参加なので、現場のスキマ時間でも受講できる。

技術者、技能者の育成を支援するCPD制度

CPDは建設業の継続的な発展をめざす研修制度です。経営事項審査の加点項目とするとこで、中小規模の建設業者の取り組みを促進する狙いがあります。

職人気質が強い建設業では現場でのOJTが優先され、座学の研修に積極的でない傾向があります。現場OJTだけに頼ると知識や技能が属人化しやすく、品質や作業効率が低下するリスクがあります。講習での知識習得と現場OJTを組み合わせることで、知識や技能の標準化がしやすくなります。特に若手人材は知識から入る方が馴染みやすいようです。

CPD受講で身につく知識で従業員の技術力、技能が向上し、品質や生産性向上につながります。さらに、経営事項審査の評点が加点されて、営業面でのメリットも拡大します。有料の教育プログラムが中心ですが、教育訓練給付金などの助成金が利用できる場合もあります。自社の従業員に足りない知識や会社として強化したい部分を見極めて、受講する講座を選びましょう。これまでに社員研修をやったことがない場合は、無料のCPD講座で様子見をしてみるのもよいかもしれません。

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