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 10月1日からインボイスを発行するための登録申請の期限は2023年3月末までとされていましたが、4月以降の申請分も認められることになりました。もしかしたら、当初の見通しよりも登録が遅れているのかもしれないですね。
 しかし、インボイス制度への対応は登録申請だけでは終わりません。インボイス施行後に求められる免税事業者への対応、2月16日が最終締切となるIT導入補助金2022のインボイス枠について解説します。

目次
-インボイス制度で免税事業者への対応はどう変わる?
 インボイスの発注者側の負担
 インボイス制度で生じる免税事業者問題
 免税事業者はどう対応すべきか
-独占禁止法違反?免税事業者に対してやってはいけないこと
-最終チャンス!インボイス対策の補助金活用
-インボイス対応は請求書発行だけではすまない

インボイス制度で、免税事業者への対応はどう変わる?

 2023年10月、いよいよインボイス制度が施行されます。10月1日付の登録には、2023年3月31日が申請期限とされていましたが、12月の閣議決定で、4月以降の申請でも10月1日付で登録できるようになりました。

 但し、登録申請から登録通知が届くまでには、e-Taxで約3週間、書面提出だと約2か月はかかる(2023年12月時点)とのことです。これから申請数が増えるにつれて、処理にかかる時間は長くなると思われます。ギリギリの提出は避け、早めに申請を済ませるべきでしょう。

参考:適格請求書等保存方式(インボイス制度)申請手続き(国税庁)

 

インボイスの発注者側の負担

 登録通知が届けば、適格請求書を発行できるようになりますが、インボイス対応は、自社で適格請求書を発行するだけではありません。念のため、おさらいしておきましょう。

・インボイス制度施行後、免税事業者への支払いからは仕入税額の減額控除ができなくなる。
・免税事業者分の税額控除ができなくなることで発注者側の消費税納付額が増える。
・税額控除の経過措置期間(2029年9月まで)があり、控除額は段階的に減ってゆく。

 課税事業者である発注者側では、2023年10月からは課税事業者と免税事業者を仕訳し、仕入税額の控除を計算しなければなりません。さらに経過措置による3年毎に変わる控除の割合に対応しなければなりません。課税事業者と免税事業者が混在すると、仕訳や税額の計算などの処理が必要になります。

 発注者側には、取引先に免税事業者が含まれていると、納税額の増加と煩雑な経理処理という2つの負担が生じるのです。

関連記事:【インボイス制度】2023年10月以降の消費税の仕入税額控除について解説

 

インボイス制度で生じる免税事業者問題

 前述の通り、インボイス制度施行後は課税事業者と免税事業者の扱いに差異が生じ、少なからず、発注者の負担となります。そこで、インボイス制度の問題として指摘されているのが、免税事業者への発注が減少する可能性です。

 外注先の選択肢に課税事業者と免税事業者がある場合、両者の力量や価格が同等であれば、課税事業者の方に、仕入税額控除のメリットがあることになります。

 仕事が減るリスクを避けるため、売上規模では課税対象にならない免税事業者が、課税事業者とならざるを得ない状況が生まれています。発注者からインボイス登録を要請された場合、強制力はなくとも、要請を断れば仕事がなくなると思えば、受けざるを得ないと考える場合も多いでしょう。反対に、インボイス登録を要請した発注者が、外注先に逃げられてしまうケースもあるようです。

 また、免税事業者のままで取引を継続するとしても、これまで消費税相当額として請求金額に含まれていた金額をどう扱うかという調整が必要になります。どちらのケースも、双方が納得できる形に着地できるよう話し合いを持つ必要があります。

<ここまでのポイント>
・2023年4月以降の申請でも10月1日付で登録できるようになった。
・発注者側には、納税額の増加と煩雑な経理処理の負担が生じる。
・免税事業者との取引、消費税相当額の扱いをどうするかが課題。

免税事業者はどう対応すべきか

 では、免税事業者はどのように対処すべきでしょうか。発注先からインボイス登録に関する要請や消費税相当額の引下げの相談があるかもしれません。しかし、いずれも発注側の立場で矯正することはできません。

 特に、インボイスを理由にした取引停止は法律で禁止されています。しかし、課税事業者に優先的に発注することは規制されないため、営業上、不利になることは否定できません。競合先に価格、品質面が同程度の課税業者があれば、新規の仕事はそちらに流れてしまう可能性があります。

 仕事が減るリスクに対して、課税事業者になる選択肢もあります。しかし、課税事業者になることで税額負担は大きくなり、税務処理が複雑になるデメリットがあります。

 売上1000万円以下の免税事業者がインボイス登録した場合の税額負担を抑えるため、期限付きの激変緩和措置が設けられています。施行から3年間は、売上の2割分に対する消費税を納付すればよいことになっています。また、簡易課税制度を利用すれば、建設業の場合、売上の3割に対する消費税を納付すれば良く、どちらもある程度まで事務処理を簡略化できます。

 発注者側との話し合いを通して、双方の立場やインボイス登録のメリット、デメリットを理解し、判断することが大切です。

参考: インボイス制度への対応に関するQ&Aについて(公正取引委員会)

<ここまでのポイント>
・インボイス登録、消費税相当の価格引き下げは強制されない。
・新規の発注が減少する可能性はある。
・インボイス登録のメリット、デメリットを踏まえて検討すべき。

独占禁止法、下請法違反?免税事業者に対してやってはいけないこと

 インボイス制度を理由に強制してはいけないことが、独占禁止法、下請法で定められています。発注者がこれらの行為を行った場合、罰則が適用される可能性があります。

  1. 取引価格の一方的な引下げ
    インボイス制度を理由に、発注者側が取引価格を一方的に引き下げることは禁止されています。 双方の合意が得られた場合のみ、価格引き下げが認められます。
  2. 成果物の受領拒否
    免税事業者であることを理由に、成果物の受領を拒否することは禁じられています。
  3. 協賛金、物品購入・利用などの負担を強制する
    免罪事業者として取引継続するための代替として、協賛金などの名目や物品購入・利用などの負担を強制してはいけません。
  4. 取引停止
    免税事業者であることを理由に継続していた取引を停止してはいけません。但し、新規の発注には規制がありません。
  5. インボイス登録の強制
    取引先に対して、インボイス登録の対応可否を確認するのは問題ありませんが、取引継続の条件としてインボイス登録を要請すると、強制とみなされる可能性があります。

参考:インボイス制度後の免税事業者との取引に係る下請法等の考え方(公正取引委員会)

<ここまでのポイント>
・一方的な価格引き下げや取引停止は禁止されている。
・取引継続を条件としたインボイス登録の要請は、強制とみなされる可能性あり。

最終チャンス!インボイス対策の補助金活用

【最終締切:2月16日】IT導入補助金2022のデジタル化枠

 中小企業のインボイス対応を支援するIT導入補助金2022のデジタル化枠が、2月16日で最終締切となります。IT導入補助金を活用して、インボイス対応を検討中なら、石田データサービスにご相談ください!


●デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)19次締切分
締切日2023年2月16日(木)17:00(予定)
交付決定日2023年3月23日(木)(予定)
事業実施期間交付決定~2023年6月30日(金)17:00
事業実績報告期限2023年6月30日(金)17:00

出典:スケジュール | IT導入補助金 (it-hojo.jp)

関連記事:すぐわかる!インボイス登録申請の準備と使える補助金

インボイス対応のポイント

 インボイス対応のポイントは、適格請求書の発行と支払請求書の税率ごとの仕訳と言えます。税率や非課税の項目別に集計する適格請求書の発行は、従来の請求書と比較するとかなり複雑です。課税事業者と免税事業者の請求書の仕訳と、税率別の集計するのはかなり煩雑な作業で、経理担当の業務負荷は確実に大きくなります。業務効率化と正確性の担保するため、インボイス対応のシステム導入をお奨めします。

 石田データサービスの工事原価管理システム「二の丸EXv2」は、税率10%、軽減税率8%、非課税が混在した適格請求書を発行できます。

<二の丸EXv2のインボイス対応>
・自社オリジナルの適格請求書書式を作成、発行できる。
・登録した課税事業者と免税事業者の請求書を自動仕訳、集計できる。
・振替伝票形式のデータを出力して会計ソフトに連携(オプション)。

設備業向け工事原価管理システム【二の丸EXv2】

<ここまでのポイント>
・インボイス対応のポイントは、適格請求書の発行と請求書の仕訳。
・適格請求書発行と税率毎の請求書仕訳にはシステム活用がお奨め。

インボイス対応は請求書発行だけではすまない

 インボイス制度施行まで約9カ月となりました。長い準備期間の終盤に入って、各方面からの反対意見が表面化しています。インボイス制度は、消費税額を明確にする請求書方式と公平性の実現を目的とするものと解釈できます。

 本来、消費税相当額は預り金ではなく対価の一部です。インボイス制度施行を根拠として、発注者側の意向で一方的な価格を引き下げたり、インボイス登録を強制したりすることはできません。見方を変えれば、課税事業者、免税事業者の双方が対応せざるを得ない制度を設け、自主解決を求められているとも考えられます。
 慢性的な人手不足が続く建設業界は、これまで下請け業者やひとり親方との協力関係によって、現場をまわしてきました。この関係を維持・継続することを念頭におけば、双方で歩み寄りの姿勢を持つ方がメリットは大きいのではないでしょうか。

 消費税やインボイスのしくみを正しく理解し、双方が納得できる形で取引条件を見直すのが、経営の安定と発展に結びつくでしょう。

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