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  4. 有給休暇の取得義務5日どう管理する?労基法違反を回避するために

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 有給休暇は、雇用形態を問わず、労働者の重要な権利です。2020年4月から年間5日以上の有給休暇を取得することが義務づけられ、雇用者は有給休暇の付与と取得の管理を行わなければなりません。

 どうすれば、有給休暇の取得義務化に対応できるのでしょうか?適切に対応することで、従業員の満足度や生産性向上の効果も期待できます。有給休暇の取得義務化に対応するポイントなどを解説します。

目次
-【おさらい】有給休暇の取得義務化
(1)有給休暇の取得義務化の概要
(2)違反したら罰則も!パート、アルバイトも対象に
-有給休暇を取得させる雇用者側の義務
(1)雇用者側に有給取得を促す義務がある
(2)有給を取得しやすくするポイント
-勤怠管理システムで、管理業務の煩雑さを解消
-繁忙期の年度末に慌てないための有給休暇取得管理

【おさらい】有給休暇の取得義務化

(1)有給休暇の取得義務化の概要

 日本における有給休暇の取得率は51.1%と、OECD加盟国の中でもっとも低い水準だそうです(2019年)。こうした状況をふまえ、2020年4月に施行された働き方関連法には、有給休暇の取得義務化という制度が含まれています。有給休暇の取得率を向上させ、働く世代の健康やワークライフバランスを保護する目的があります。

<有給休暇取得義務化の概要>
・有給休暇の付与日から2年以内に、年間5日以上の有給休暇を取得しなければならない。
・1年以上勤務した従業員に対して、有給休暇の取得義務が適用される。
・有給休暇の取得義務は、雇用者と従業員の双方に課せられる。
・有給休暇の取得義務を遵守しなかった場合、雇用者は労働基準法に基づく罰則を受ける可能性がある
(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)。

(2)違反したら罰則も!パート、アルバイトも対象に

 有給休暇の取得義務は、パートタイムやアルバイトなどの非正規雇用者にも適用されます。つまり、雇用形態に関わらず、以下の条件を満たす従業員には有給休暇を与えなければなりません。同時に、有給休暇取得の管理を行い、取得させる義務が生じます。有給休暇の取得権利が発生する条件は、以下の通りです。

<有給休暇の取得権利が発生する条件>
・週に20時間以上働いている。
・1ヶ月以上の雇用期間がある。
・1年以上の継続勤務が見込まれる。

<ここまでのポイント>
・付与日から2年以内に年間5日以上の有給休暇を取得しなければならない。
・有給休暇の取得義務を遵守しなかった場合、罰則がある。
・パートタイムやアルバイトなどの非正規雇用者にも適用される。

有給休暇を取得させる雇用者側の義務

(1)雇用者側に有給取得を促す義務がある

 有給休暇の取得義務化により、会社として有給休暇を取得しやすい環境を整える責任が生じました。 適切なマネジメントと取得しやすい環境づくりなど行って、有給休暇の取得を積極的に促し、管理する責任があります。従業員の自主性だけに委ね、有給休暇取得に関する義務を怠ると、罰則の対象となります。また、有給休暇の取得を妨げた場合には損害賠償の責任を負わされる可能性もあります。

<有給休暇取得に関する雇用者の義務>
①従業員に、有給休暇の付与日と取得状況を通知する
②有給休暇を取得するよう勧告する
③有給休暇の取得を妨げない

(2)有給を取得しやすくするポイント

 設備業では夜間や休日に作業しなければならない現場も多く、また慢性的な人手不足から、あまり有給休暇を取得できていない会社も多いようです。現状で有給休暇の取得ができていないようであれば、取得しやすくするための対策が必要でしょう。

①就業規則や有給休暇に関する規程の見直し
有給休暇の取得に関するルールを見直し、柔軟に取得できるようにする方法があります。また、ルールが明文化されておらず、慣例や口約束で運用されている会社もあるようです。ルールを明確にして周知することで、取得のハードルを下げることができます。

<有給休暇取得を促進する施策の例>
・有給休暇の取得単位を1日から半日や時間単位に変更する
・有給休暇の取得申請の期限や手続きを簡素化する
・有給休暇の取得に関する承認基準や拒否事由を明確にする
・有給休暇の取得に関する報告や連絡の方法を定める
・会社側で取得状況を把握し、取得していない人への声掛けを行う

②有給休暇を取得したがらない人がいたら?
有給休暇の取得に積極的でない人がいる場合は、有給休暇に対する意識を高めるところから始めなければなりません。まずは有給休暇の取得義務化について理解してもらうことから始めましょう。有給休暇を取得することに不安や懸念があるならば、それを解消するサポートが必要です。経営者の目が届かない部分で、休暇取得するための仕事の調整が難しかったり、取得しづらい雰囲気があったりする場合もあります。

③必要な日数を取得させるための働きかけ
会社として従業員に年間5日以上の有給休暇を取得させる義務がありますが、有給休暇は従業員の自由意志で取得するもので、会社としては取得を妨げることも、強制することもできません。会社には、有給休暇の取得を促すことしかできないのです。
有給休暇の取得を促すには、期限を設定して勧告することが有効です。期限を設定することで、計画的に取得を考えるきっかけになりますし、管理もしやすくなります。

勤怠管理システムで、管理業務の煩雑さを解消

<> 有給休暇の付与と取得状況の管理はもともとかなり手間がかかる作業ですが、時間単位の休暇取得を取り入れるとさらに煩雑になります。設備業のように現場で働く従業員が多い場合、勤怠や有給休暇の申請や承認の手続きが煩雑になりがちです。「有給休暇をとりやすくするために、労務管理担当の残業が増える」という笑えない話も充分にあり得ます。

 有給休暇に関する事務処理を効率化するには、勤怠管理システムの活用が有効です。有給休暇の付与状況や取得状況をリアルタイムで把握することができます。ご存じの通り、勤怠管理システムとは、従業員の出勤・退勤を記録するシステムですが、残業や休暇の申請・承認などの機能を搭載している製品も多いです。タイムカードで打刻した勤務時間の集計や有給休暇の付与と消込みが自動化できます。

 石田データサービスの予定登録・作業日報・勤怠管理システム「Writeレス」は、現場予定や工事日報などのほか、設備業にマッチする機能を標準装備しております。従業員の勤怠や残業時間、有給休暇の取得状況などをひとつの画面から確認できます。

[Writeレス]予定登録・作業日報・勤怠管理システム

<ここまでのポイント>
・就業規則や有給休暇の規程を見直して有給休暇をとりやすくする。
・有給休暇の取得義務化の周知や職場の雰囲気づくりも必要。
・有給休暇の取得状況を管理し、取得するよう勧告する。

繁忙期の年度末に慌てないための有給休暇取得管理

 建設業は3月末に期末を迎える会社が多いです。工期の追い込み時期や引き渡し、決算や税金の準備など、多くの業務が重なる繁忙期です。3月に入ってから有給休暇の取得日数が足りないことがわかって、あわてる可能性もあります。

 年度末に慌てないためには、以下のような対策が考えられます。特に3番目については、すぐに対応することをお勧めします。勤怠管理システムを活用すれば、簡単に有給休暇の取得状況を把握でき、最小限の労力で対応できます。

<有給休暇取得管理のポイント>
・年間の有給休暇の取得計画を立てさせる
・半期もしくは四半期ごとに有給休暇の取得状況を通知し、取得を促す
・年度末に入る前に有給休暇の取得状況を確認し、残り日数の取得を促す

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