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 2024年 2月スタートしたIT導入補助金2024では、対象枠の構成や補助対象などに変更点がありました。IT導入補助金2023ではインボイス対策の予算が上積みされたこともあり、2022を上回る採択数となりました。気になる2023の採択率や、不採択理由をふまえた採択されるためのポイントなどを解説します。

目次
-令和6年2月からスタート!IT導入補助金2024
(1)IT導入補助金2024の目的、交付対象
(2)IT導入補助金2024の概要
(3)IT導入補助金2023との違い
-IT導入補助金2023の採択率はどれくらいだった?
-IT導入補助金で採択されるためのポイント
(1)IT導入補助金で採択されなかった事例
(2)IT導入補助金で採択されるためのポイント
-IT導入補助金2024の活用でどう変わる?

令和6年2月からスタート!IT導入補助金2024

(1)IT導入補助金2024の目的、交付対象

 IT導入補助金2024が2月からスタートしました。ご存じの通り、IT導入補助金は中小企業、小規模事業者のデジタル化を推進する目的で、国がIT導入費用の一部を補助する事業です。補助対象となるITツールは事前審査を受けて登録されているものに限られ、ソフトウェア購入費、クラウドサービス利用料、導入にかかる関連費用などが補助対象となります。IT導入支援事業者が補助金の交付申請や実績報告などの手続きをサポートします。補助対象などで変更された部分はありますが、事業の骨子としては従来から変わらず、先着順で予算がなくなり次第終了となります。

IT導入補助金2024公式ページ:https://it-shien.smrj.go.jp/

(2)IT導入補助金2024の概要

IT導入補助金2024の概要をまとめました。従来通り、取り組み内容ごとに要件や補助率、補助額が異なります。

■IT導入補助金2024の対象となる取り組み

補助対象となる取り組み
通常枠自社の課題にあったITツールを導入し、業務効率化・売上アップさせる。
インボイス枠/
インボイス対応類型
インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトを導入し、労働生産性を向上させる。
インボイス枠/
電子取引類型
発注者側でインボイス制度対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、当該取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者等に対して無償で供与して利用させる。
セキュリティ対策推進枠サイバーインシデント事案の潜在的リスクを低減させる。
複数社連携IT導入枠複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツール及びハードウェアを導入して、地域DXの実現や生産性の向上を図る。

■IT導入補助金2024の補助内容

対象 補助率 補助額
通常枠 供給・在庫・物流、総務・人事・給与・労務、顧客対応販売支援など 1/2以内 1プロセス以上:5万円以上150万円未満、4プロセス以上:150万円以上450万円以下
インボイス枠/インボイス対応類型 インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト 中小企業3/4、小規模事業者4/5 50万円以下 ※会計・受発注・決済のうち1機能以上を有すること
2/3以内 50万円超〜350万円以下 ※会計・受発注・決済のうち2機能以上を有すること
PC・ハードウェア等 1/2以内 PC・タブレット等:10万円以下、レジ・券売機等:20万円以下
インボイス枠/ 電子取引類型 インボイス制度に対応した受発注システム 中小企業小規模事業者等:2/3 以内、その他事業者等:1/2 以内 350万円以下(下限なし)
セキュリティ対策推進枠 サイバーインシデントに関するリスク低減策 1/2以内 5万円以上100万円以下
複数社連携IT導入枠 基盤導入経費/ソフトウェア 中小企業3/4、小規模事業者4/5 50万円×グループ構成員数
2/3以内 50万円超〜350万円以下×グループ構成員数
基盤導入経費/ハードウェア 1/2以内 PC・タブレット等:10万円×グループ構成員数、レジ・券売機等:20万円×グループ構成員数
消費動向等分析経費 2/3以内 50万円以下×グループ構成員数
その他経費 2/3以内 【基盤導入経費と消費動向等分析費の合計額】×10%×2/3(補助率)もしくは200万円のいずれか小さい額 ※基盤導入経費と消費動向分析経費の合計額は3000万円が上限

出典:IT導入補助金とは | IT導入補助金2024 (smrj.go.jp)

(3)IT導入補助金2023との違い

IT導入補助金2023からの変更された点について解説します。

①枠組みの変更
デジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス対応に新たな枠が設けられました。また、複数社連携IT導入枠が独立しました。

②ECサイト制作の特例廃止
IT導入補助金2023では、デジタル化基盤導入類型でECサイトの新規構築やECカートシステム追加に内包されるECサイト制作費用が補助対象となっていましたが、廃止されました。またインボイス枠ではソフトウェアのみ補助対象となり、ECサイト用カートは対象外になりました。

③補助額・補助率の変更
小規模事業者への50万円以下の補助率が3/4から4/5に引き上げられました。

④IT導入支援サービスの費用が補助対象に
2023までは対象外だったIT導入計画書の作成やアドバイスなどのIT導入支援サービスの費用が、IT導入費用の10%(上限額10万円)を上限に補助されます。

<ここまでのポイント>
・デジタル化基盤導入枠が廃止されるが、新設枠でインボイス対策への補助は継続する。
・ECサイト制作費用が補助対象外となる。

IT導入補助金2023の採択率はどれくらいだった?

 IT導入補助金2023(申請期間:令和5年2月~12月)の申請総数は93,206件、採択数は70,738件、業全体の採択率は75.9%という結果でした。インボイス対策として設けられたデジタル化基盤導入枠(通称インボイス枠)が申請数、交付数とも全体の約7割を占め、採択率でも全体平均を上回る76.1%という結果でした。インボイス制度施行の10月前後からデジタル化基盤導入類型の申請数、採択率ともに上昇し、最終的に2022年度を上回る採択率になったようです。

申請数 交付数 採択率
通常枠 A類型 24,330 18,415 75.7%
B類型 558 332 59.5%
デジタル化基盤導入枠 デジタル化基盤導入類型 68,045 51,759 76.1%
複数社連携IT導入類型 4 4 100.0%
セキュリティ対策推進枠 269 228 84.8%
合計 93,206 70,738 75.9%

出典:IT導入補助金2023交付事業者
前期 https://www.it-hojo.jp/applicant/grant_decision.html
後期 https://it-shien.smrj.go.jp/2023/download/grantdecision_list/

<ここまでのポイント>
・デジタル化基盤導入枠(通称インボイス枠)が全体の約7割を占めた。
・IT導入補助金2022を上回る採択率となった。

IT導入補助金で採択されるためのポイント

(1)IT導入補助金で採択されなかった事例

IT導入補助金の不採択となるのは、申請内容の不足、申請書類の不備、交付要件を満たしていないなどの理由が考えられます。また、申請期間の終盤に予算が少なくなって採択できる件数が限られたときには採択基準が厳しくなる可能性も考えられ、申請期間を通して一律の基準で採択されるという保証はありません。

 IT導入補助金の審査方法は公開されていませんが、申請書類に記載した目標数値などが低すぎたり、矛盾があったりすれば減点されると言われています。また、書類作成時のケアレスミスが意外に多いようで、誤字脱字や計算ミスも減点対象になり得ます。完ぺきな内容の申請書類を作成しても、交付要件を満たしていなければ受給できないため、書類作成の時間や手間が無駄になってしまいます。事前に要件を満たしていることを確認しておきましょう。

(2)IT導入補助金で採択されるためのポイント

 IT導入補助金の申請においてIT導入支援事業者のサポートは欠かせません。しっかりコミュニケーションをとって連携することが大切です。

 申請準備の時間がとれない場合は、IT導入計画書の作成やIT導入のアドバイスを行うIT導入支援サービスを利用すると、IT導入計画書の作成に必要な時間や手間を減らすことができます。前述の通り、IT導入支援サービスの費用も補助対象となります。また、IT導入計画書の作成に必要な項目や書き方の例を示したテンプレートも提供されています。

採択されるために注意すべきポイントを挙げてみます。

採択されるためのポイント①:申請書類や入力内容に不備や矛盾をチェックする
ケアレスミスや添付画像の解像度などもしっかりチェックしましょう。

採択されるためのポイント②:IT導入補助金の目的や趣旨に沿った内容にする
IT導入計画書でIT導入の必要性や目的を明確にすることで、説得力あるものにすることができます。たとえば、時間外労働の上限規制や人手不足への対策、インボイス対応やセキュリティ対策など、外部環境の変化や法制対応、業務効率化や競争力強化などの内部環境の改善など、IT導入補助金の趣旨に沿った取り組みであることを明示しましょう。

採択されるためのポイント③:IT導入効果を期待できる合理的な内容にする
補助金の審査は不正受給を見逃さないこと、交付した補助金が無駄にならない事業者を選択することが目的です。ですから採択されるためには、補助金の事業目的に沿った計画であると同時に、IT導入の妥当性や実現可能性を示す必要があります。

<ここまでのポイント>
・書類不備、誤字・脱字・計算ミスなどのケアレスミスは徹底的になくす。
・申請内容を、IT導入補助金の目的や趣旨に沿った矛盾の無いものにする。
・補助対象となったIT導入支援サービスの利用やIT導入計画書テンプレート活用を推奨。

IT導入補助金2024の活用でどう変わる?

 IT導入補助金2024を活用して業務のデジタル化やDXを進めると、書類作成や管理の省力化、業務の進捗状況の把握やデータ分析も容易になります。業務のスピードや品質を落とさず、時間外労働の上限規制や人手不足に対応できます。柔軟な対応やスピード感アップなどサービスの品質が向上すれば、競争力の強化も期待できます。

 DXによって柔軟な働き方や効率化で業務負荷やストレスが軽減すれば、ワークライフバランスを改善でき、働きやすい職場になります。従業員の満足度やモチベーションを高まると、採用力の向上や従業員の定着化も促進されるでしょう。

 IT導入補助金2024を活用して、一部のプロセスのデジタル化から会社全体に広げていくスモールDXを始めてみませんか。

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