1. HOME
  2. ブログ
  3. 業務改善・効率化
  4. DX・デジタル化
  5. 建設資材の高騰にどう対処する?DXによる収益アップの取組み

BLOG

ブログ

近年、コロナ禍、ウクライナ問題と続いて建設資材価格の高騰に円安の影響が加わり、その影響が深刻化しています。建設業界にかぎらず、円安倒産する中小企業も増加しています。
建設資材の高騰への対策には資材調達の工夫や、スライド条項の適用などが考えられますが、それだけでは対処しきれない状況と言えます。資材調達や原価だけに留まらず、業務全体を見直し、収益性を高める取り組みが必要になっています。DXによる収益アップの取組みについて解説します。

目次
-円安の影響で止まらない建設資材の高騰
-デジタルを活用した資材価格高騰への対策
(1)適切な工事原価管理
(2)業務効率化による人件費などのコスト削減
(3)市場動向の追跡と分析
-業務効率化以外にもある設備業のDX導入効果
(1)技術継承の円滑化
(2)労務リスク、安全衛生の強化
(3)新しいビジネスモデルの創出
-DXは資材価格高騰への対策としても効果的

円安の影響で止まらない建設資材の高騰

円安の影響で輸入品を中心に建設資材の高騰が止まらず、設備業にも大きな影響を及ぼしています。鉄骨や電線、空調機器など、工事に欠かせない資材の価格が全般的に上がり続けているため、企業努力でどうにかなる段階ではないという声も聞かれます。資材価格を見積に反映するのはもちろんですが、資材価格以外の物価高や人件費の引き上げに対応するため、もはや会社の収益構造そのものから見直していく必要があります。

円安による資材価格高騰に対処するには、早期の仕様決定と発注が重要です。早めに資材調達ができれば調達方法の選択肢が増え、価格変動に対応しやすくなります。最近のように日を追うごとに円安が進む状況では、市場価格が上昇する前に必要な資材を確保するのが有効と言えそうです。

調達方法の工夫も重要なポイントです。長期契約によって一定期間の価格を取り決める、組合単位や同業者と共同購入するなどの方法が考えられます。一社あたりの取引規模が小さい中小企業でも、複数の事業者が連携することで取引量が大きくなり、価格交渉力が生まれます。

また、発注後の価格変動に対応できるよう、請負契約にスライド条項を設けておくことが重要です。スライド条項によって価格変動リスクを一方的に負担せずに済むようになります。価格高騰に直面する企業を後押しするため、国や自治体でも融資制度の拡充や補助金などの施策が用意されています。こうした制度を利用する方法も検討しましょう。

資材需給の変化や為替の動向など、さまざまな要因が資材価格に影響しています。建設物価データなどを活用して市場動向の情報収集や分析することで、適切な対策を立てやすくなります。

<ここまでのポイント>
・コスト増を抑制するには、早期の仕様決定や調達方法の工夫が考えられる。
・請負契約にスライド条項を設け、価格変動リスクを一方的に負担しないようにする。
・建設物価データなどを活用して市場動向を把握し、適切な対策を立てる。

デジタルを活用した資材価格高騰への対策

価格高騰への対策は資材の購入費用を抑える工夫に加えて、原価管理の最適化や業務全体を効率化することで収益を高める方法が考えられます。これにDXが有効です。初期投資は必要ですが、長期的には生産性が向上し、収益を確保できるようになります。

(1)適切な工事原価管理

工事原価管理システムを導入することで、工事ごとの利益をリアルタイムに把握できるようになります。見積もり段階から実行予算を組むことでより適切に原価管理を行えるようになり、受注判断の精度も上がります。

(2)業務効率化による人件費などのコスト削減

デジタル化によって業務の自動化や省力化が進めば、作業時間の短縮によるコスト削減に加え、人的ミスのリスクも低減できます。空いた時間を別の作業や価格変動への対策に充てることもでき、収益確保のための能動的な取り組みが可能になります。

(3)在庫管理や調達先の最適化

購入した資材の在庫管理や調達先ごとの価格比較を可視化することで、過剰在庫を抑え、需要に応じた発注ができるようになります。特定の資材が高騰したときに代替品への切り替えなどの柔軟な対応が可能となります。手間と時間がかかる比較検討の作業をデジタル化することでコスト削減しつつ、スピーディな価格変動対策がとれるようになります。

<ここまでのポイント>
・価格高騰への対策は資材の購入費用を抑えるだけではない。
・デジタル化で業務全体を効率化することで収益性を高められる。

業務効率化以外にもある設備業のDX導入効果

DXは、業務の効率化だけでなく、さまざまな経営課題の解決に活用できます。マンパワーが少ない中小企業だからこそDXによって劇的な改善が期待でき、持続的に成長していくためのキーワードと言えるでしょう。業務効率化以外のDX導入効果の例を挙げてみましょう。

(1)技術継承の円滑化

建設業の担い手不足に加えて、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題で、熟練技術者の確保が大きな課題となっています。ベテラン技術者の経験やノウハウをデータとして蓄積し、作業手順や点検項目などを画像や動画で視覚化して共有するなど、デジタル活用によって若手への技術伝承を円滑化できます。先進的な取り組みでは、AR(拡張現実)技術による作業を仮想体験なども取り入れられています。技術継承がスムーズになることで、若手の早期離職防止も期待できます。

(2)労務リスク、安全衛生の強化

デジタルツールを活用した作業員の行動把握や熱中症リスクの可視化などの安全衛生管理が実用化されています。IoTによる常時モニタリングやドローン活用で危険を伴う場所の点検作業を減らすなど、リスクの早期発見と回避ができます。安全性が高まれば、事故による人的・経済的損失を最小限に抑えられます。

(3)新しいビジネスモデルの創出

デジタル活用で新たなサービスを構築することで、新規事業の立ち上げや既存サービスの付加価値を付けることができます。これらで新たな収益を生まれる可能性があります。蓄積された業務データから新サービスのヒントを発見できることもあります。DXは、単なる業務効率化ツールではなく、事業を変革させる経営戦略につながる取り組みです。

<ここまでのポイント>
・マンパワーが少ない中小企業だからこそDXによって劇的な改善が期待できる。
・DXは単なる業務効率化ツールではなく、事業を変革させる取り組み。

DXは資材価格高騰への対策としても効果的

現在の円安傾向は先行き不透明な状況であり、適切な原価管理やコスト削減は経営状況を左右する課題です。業務プロセス全体をデジタル化することで、経営判断を迅速化でき、こうした課題にもスピーディに対処できるようになります。そのためには、部分的な取り組みではなく、業務全体をワンストップで把握できる状態になることがおすすめします。

DXは業務効率アップするだけでなく、新規事業や付加価値向上など売上を増やす取組みにも役立ちます。また、技術継承の円滑化やデジタルを活用した付加価値の高いサービスの提供によって、価格への依存度が下がり、発注者との関係構築や他社との差別化にもつながります。

DXで業務全体をデジタル化することで、資材価格高騰に対応できる経営基盤の強化になります。また、リスクや課題をビジネスチャンスに転換していける可能性もあり、経営の柔軟性や持続可能性を高めることができます。

関連記事