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設備業の収益性向上!利益率アップのカギとなる積算見積と原価管理

企業経営でもっとも重要なのは収益の確保です。人手不足や資材価格の高騰など、利益を圧迫する材料が多い中で、中小規模の設備業者が利益率を向上させるための戦略について解説します。設備業の収益性を高めるためには、積算見積の精度アップと適切な原価管理が不可欠です。利益率アップと業務効率化を実現する施策を紹介します。

目次
-利益を最大化するための原価管理と積算見積の重要性
(1)設備業の利益率ってどれくらい?
(2)設備業の利益に関する課題
(3)原価管理と積算見積が利益率に与える影響
-利益率アップの原則①精度の高い見積もりで競争力を高める
-利益率アップの原則②原価の見える化
-利益率アップの原則③業務の流動化で残業削減
-利益率アップへの道は積算見積と原価管理で開ける

利益を最大化するための原価管理と積算見積の重要性

(1)設備業の利益率ってどれくらい?

 設備業の利益率は平均3〜5%程度で推移していますが、10%以上の利益率を達成している会社も存在するようです。業態や規模によっても大きく異なり、規模の大きさと利益率の高さは比例する傾向にあります。また、設備業界でも原材料費の高騰や人件費の上昇に利益を圧迫され、収益低下に悩まれる会社が多いです。

 こうした統計にはあらわれませんが、同じ社会環境においても利益率を維持・向上させている企業も少数ではありますが存在します。これらの企業は、積極的な原価管理と精度の高い積算見積を実践しているケースが多いです。

設備工事業 令和2年度 令和3年度 令和4年度
売上高経常利益率(%) 4.57 4.00 3.18
売上高総利益率(%) 29.51 29.58 29.46
技術職員 1 人当たり完工高(千円) 35,238 34,796 34,555

※設備工事業の対象業種:電気工事、管工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、 さく井工事、消防施設工事、清掃施設工事

出典:「建設業の経営分析(令和4年度)概要版」(一般財団法人 建設業情報管理センター)

(2)設備業の利益に関する課題

昨今、設備業の利益が伸びやむ原因として考えられるのは、以下の3点です。

・着工件数に減少による価格競争の激化
・人手不足による人件費の上昇
・原価管理の不徹底

 ひとつめは、着工件数の減少の影響です。国土交通省「住宅着工統計」によると、2023年の注文住宅の着工件数は64年ぶりの低水準となっており、その反動もあってか2024年4月の調査では、貸家と分譲住宅を中心に前年比13.9%と増加していますが、少子高齢化による需要縮小を背景に長期的な減少傾向にあると言われています。改修やリフォームの増加傾向はみられても、着工件数の減少が価格競争の激化につながっていると考えられ、利益を圧迫する要因となっている可能性があります。また、大規模プロジェクトでの低価格入札も常態化しており、利益率の低下につながっていると考えられます。
次に考えられるのは人件費の上昇です。社会全体で深刻な人手不足が続いており、建設業・設備業は特に顕著な影響を受けている業種のひとつと言えます。職人を確保するため給与水準や外注費を引き上げざるを得ないため、利益率を圧迫する要因となっています。人手不足が改善する見通しは立っていないため、少ない人数で収益を確保する施策を考える必要があります。

 3つめは、要因であると同時に問題解決の糸口とも考えられる「原価管理の不徹底」です。中小規模の設備業者では適切な原価管理を行っておらず、利益が受注時の想定を下回るケースが見られます。さらに深刻な場合は、見積の時点で赤字になっている場合もあるようです。逆に言えば、適切な原価管理を行うことで収益性が向上する可能性があります。

出典:今月のグラフ(2024年3月)64年ぶりの歴史的な低水準となった注文住宅の新設着工 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

(3)原価管理と積算見積が利益率に与える影響

 設備業は見積時の不確定要素が多く、現場の状況で内容を変更される場合があり、現場の状況に対応しつつ収益を確保するには、精度の高い見積と適切な原価管理が必要です。原価管理の徹底により、無駄な支出を抑え、利益率の向上につながります。また、精度の高い積算見積を行うことで、受注時にしっかり利益を確保できるようになります。

参考記事:【建設業の見積】担当者ごとの見積格差を解決して利益率アップを!

<ここまでのポイント>
・設備業の利益率は平均3〜5%程度、10%以上の利益率の会社もある。
・設備業が収益を確保するには、精度の高い見積と適切な原価管理が必要。

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