
2025年中に施行される改正建設業法への対策は進んでいますか?
今回の改正は、建設業界の商習慣を根本から変える重要な内容が含まれており、ほぼすべての建設業者が、見積や契約のプロセスの改善を求められることになるでしょう。
このコラムでは、法改正の最新情報と対策について解説します。また、2月・3月開催の改正建設業法Webセミナーでは、さらにわかりやすく具体的に解説します。
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目次
-2025年施行の改正建設業法の狙いとは
(1)担い手不足の原因である低賃金・長時間労働の解消(緩和)
(2)他業種と比較して安い?!賃金の底上げ
(3)働き方改革の実現!デジタル化による労働時間短縮
-【最新情報】建設業法の改正ポイントととるべき対策
・元下間の見積の標準労務費の勧告
・原価割れ契約の禁止
・資材高騰リスクの情報提供義務付け
・資材高騰時の変更方法を契約書に明示
・工期ダンピングの禁止
・材料等記載見積書の作成
-なぜ、改正建設業法の対策にデジタル化が有効なのか
-【2/26、3/10開催】改正建設業法Webセミナー(CPD認定)のお知らせ
2025年施行の改正建設業法の狙いとは
改正建設業法には見積・契約プロセスに関わる改正が盛りこまれており、建設業界の商習慣が根底から変わることになるでしょう。法改正への対応を放置したり、先送りしたりすると、業務に支障をきたす可能性すらあります。まずは法改正の狙いと目的を解説します。
(1)担い手不足の原因である低賃金・長時間労働の解消(緩和)
建設業界が直面している最重要課題の一つが、深刻な担い手不足です。若い人材の流入を促進するために、建設業界を働きやすく、魅力的な環境にする必要があります。改正建設業法では低賃金と長時間労働の解消をめざして、現行法ではなかった具体的な対応が明示されます。
特に見積・契約プロセスにおいて、下請け会社が適正な労務費を確保できる構造を整え、建設業従事者の処遇改善の原資とする狙いがあります。元請け・下請け間での適正な見積りと契約を実現すると同時に、長時間労働の解消(緩和)に向けた施策が盛りこまれています。
(2)他業種と比較して安い?!賃金の底上げ
建設業界の賃金水準は低いとも言われますが、建設工事の請負契約において、労務費(賃金の原資)は、相場が分かりづらい、材料費よりも削減が容易、技能者の処遇を考慮せず安価に請け負う業者が競争上有利等の性質により、過度な重層下請構造の下、技能者を雇用する下請業者まで適切に確保されていないという現状があります。
生産労働者の値 | |
全産業 | 508万円 |
建設業 | 432万円 |
出典:令和5年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)
(3)働き方改革の実現!デジタル化による労働時間短縮
建設業法改正のもう一つの重要な狙いは、働き方改革の実現です。ご存じの通り、建設業界にも2024年4月から残業時間の上限規制が適用されています。
労働時間の短縮を徹底し、労働環境を向上させる施策として、デジタル化の推進に向かうような条項が盛り込まれています。ICT(情報通信技術)の導入や先進技術を活用して、労働者の負担を軽減しつつ、業界全体の生産性向上をめざします。
<ここまでのポイント>
・改正法の狙いは担い手不足の原因である低賃金・長時間労働の解消(緩和)
・担い手不足と収益性アップの両方にリーチできるデジタル化推進も狙いのひとつ。
【最新情報】建設業法の改正ポイントととるべき対策
2024年10月の施行決定後、段階的に詳細情報が開示されています。改正法のポイントを理解し、どの部分をどこまで対応しなければならないかを把握するところから始めましょう。改正建設業法の最新情報を解説していきます。
①元下間の見積の標準労務費の勧告
賃金引き上げ確保の取り組み状況が、調査・公表されるようになります。国が定める標準労務費を基準とした見積りが求められるようになり、適正な労務費の確保が期待されます。
標準労務費とは、公共工事の設計労務費と標準歩掛を利用して、工種別の労務費の標準金額を制定するもので、元下間の見積で使用される労務費の基準となります。適正な労務費等の確保と労働者への行き渡りのために、著しく低い労務費等による見積や見積依頼が禁止され、これに違反した発注者は勧告・公表されます。
②原価割れ契約の禁止(受注者)
受注者は、実際の工事原価を下回る金額での契約が禁止されます。適正な利益確保のため、根拠のある見積作成と正確な原価計算の確立が重要です。原価管理システム導入などを推奨します。
③資材高騰リスクの情報提供義務化
受注者は、注文者に対して資材高騰が見込まれる場合などのリスク情報を提供することが義務化されます。定期的な市場価格の把握と情報共有の仕組みづくりが求められます。
④資材高騰時の変更方法を契約書に明示
資材が高騰した場合の請負代金等の「変更方法」を契約書記載事項として明確化することも盛り込まれています。さらに、実際に資材高騰した場合、注文者が誠実に協議に応じることが努力義務事項となりました。 ※公共工事発注者は義務化
標準的な変更条項の追記などの契約書フォーマットの整備や契約管理のしくみが必要になります。
⑤工期ダンピングの禁止
不当に短い工期による契約締結は、発注者・受注者双方における禁止事項となります。工期ダンピング対策の強化が求められます。
⑥材料等記載見積書の作成
「材料費等記載見積書」の作成が努力義務となり、注文者から請求があった場合は交付しなければならないとされています。材料費等記載見積書とは、材料・労務・経費などの内訳を記載したものを指し、いわゆる「一式見積」は通用しなくなります。見積作成には材料・労務・経費の内訳根拠が不可欠となり、見積書作成支援ツール導入や見積書フォーマットの標準化が必要になります。
<ここまでのポイント>
・まずは、改正法対応のポイントとなる最新情報の把握から。
・セミナーではより具体的な対策について解説します!
なぜ、改正建設業法の対策にデジタル化が有効なのか
前述の通り、建設業界全体のデジタル化推進も改正法の狙いです。建設業向けの各種申請や提出書類のデジタル化が進んでいます。当面、紙の書類が廃止されることはなさそうですが、役所側の処理にデジタルよりも時間がかかるなどのデメリットは生じています。自社内の業務効率が大幅に向上するうえ、そうしたデメリットが生じるようになると、デジタル化に舵を切る会社は増えるでしょう。
特にデジタル化があまり進んでいなかった企業では、基本的なシステムを導入するだけでも大きな効果が実感できるのではないでしょうか。例えば、積算見積システムや工事原価管理ソフトの導入により、業務効率が劇的に改善するケースも多く報告されています。優先順位の高い業務や改善しやすい業務から着手し、段階的に会社全体に広げていくスモールスタートは、労力やコストの負担を抑えながら、中小企業でも無理なく、低リスクで導入できるメリットがあります。
また、改正建設業法という大きな枠組みに沿って推進されますので、デジタル化を支援する各種補助金や制度が用意されるでしょう。公的支援を活用することで、比較的少ない自己負担でデジタル化を進めることが可能です。
<ここまでのポイント>
・デジタル化が進んでいなかった会社ほど、導入効果を実感しやすい。
・スモールスタートなら、中小企業でも無理なく低リスクで導入できる。
・デジタル化を支援する各種補助金や制度が用意されるであろう。
まずは知ることから!【2/26、3/10開催】改正建設業法Webセミナー
2025年中に施行される改正建設業法は、建設業界の在り方を大きく変える重要な転換点になることは間違いありません。対策は待ったなしです!改正ポイントの最新情報と具体的な対策について、わかりやすく解説するWebセミナー(無料)を開催いたします。また、本セミナーはCPD共通認定プログラムとなっております。事前申請により、CPD単位を取得できます。
セミナー受講後、改正法への対策やデジタル化について、さらに詳しく相談したい方には個別相談も承ります。この機会に改正内容をしっかりと理解して、適切な対策を講じましょう!
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タイトル | 『2025年、法改正で建設業界が激変する!?』今、改正建設業法を知って備えるとき!~建設業界の商慣行が変わる~ |
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開催日時 | 第1回:2025年2月26日(水)13:30~15:30 第2回:2025年3月10日(月)13:30~15:30 【注意】お申し込みは必ず開催日前日18時までにお願いします。 |
開催形式 | オンライン 受講無料 |
主催 | 石田データサービス株式会社 |
概要 | 講師:石田データサービス株式会社 曽根 淳 ・改正建設業法の概要と影響 ・具体的な対応策とデジタル化の進め方 ・補助金等の活用方法 ・質疑応答 詳細はこちら:https://www.idsnet.co.jp/idsseminar/20250121/ |
お問い合わせ | TEL:050-3161-7985 |
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