
竣工・着工が多い年度末は建設業の繁忙期であり、同時に自社の決算期である会社が多いです。この時期には、確定申告と同じくらい重要な決算報告届の提出があります。紙の工事台帳やExcelでのデータ収集や集計に多大な時間と労力がかけている会社も多いのではないでしょうか。工事台帳のデジタル化と工事原価管理システムによって、業務効率を向上させる方法をご紹介します。
目次
-決算変更届(決算報告)の作成に時間がかかりすぎていませんか?
-決算変更届作成の効率アップ!工事台帳デジタル化の5つのメリット
メリット①:工事情報と工事原価を一元管理できる
メリット②:積算見積システムとの連携で実行予算作成を自動化
メリット③:工事台帳から集計できるので、帳票作成の工数を大幅に削減できる
メリット④:工事情報にリアルタイムにアクセスできる
メリット⑤:データ分析が容易になる
-ITに弱くても大丈夫!デジタル化を成功させるポイント
・自社の現状にあったツールを選定する
・導入にあたって業務の棚卸を行い、課題を洗い出す
・実際に使用する従業員の意見を吸い上げる
・導入前後のサポートが重要
-決算報告書作成が劇的にスムーズになる工事台帳のデジタル化
決算変更届(決算報告)の作成に時間がかかりすぎていませんか?
建設業にとって、決算変更届(決算報告)の提出は避けて通れない業務です。決算期の財務状況に加えて、完成工事高、許可業種ごとの工事実績など、多くのデータを集める必要があります。年間の完成工事高が1億円を超える場合は施工金額報告書の作成も必要となります。さらに、経営事項の変更などがあった場合は工事経歴書も必要になります。
実際、決算変更届作成を負担に感じている会社は多いでしょう。紙の工事台帳管理とExcelでの集計作業は、年に一度であっても大変な作業です。紙の工事台帳によって、以下のような課題が発生していると考えられます。
・複数の現場や部署で管理している工事情報の収集に時間がかかる
・手書きの工事台帳から必要な情報を転記する際にミスが発生しやすい
・工事実績を検索、参照する手間がかかる
・工事原価の集計に時間がかかり、工事ごとの収支把握が遅れがちになる
紙の工事台帳は、建設業における業務効率化の大きな障壁と言えるでしょう。これらを解決し、業務効率をアップさせるのが工事台帳のデジタル化です。
<ここまでのポイント>
・多くのデータを集めなければならない決算変更届(決算報告)は煩雑な作業。
・紙の工事台帳は、建設業における業務効率化の大きな障壁と言える。
決算変更届作成の効率アップ!工事台帳デジタル化の5つのメリット
建設業において、工事台帳のデジタル化は業務効率化を大幅に促進させる重要なポイントです。ここでは、工事台帳のデジタル化のメリットを紹介します。
メリット①:工事情報と工事原価を一元管理できる
工事台帳のデジタル化で、着工から完工、請求・入金にすべてのプロセスを一元化できます。工事名、工事場所、発注者情報、契約金額といった基本情報から、工事原価、出来高、工期などの詳細情報まで、最初に入力した情報が共有されるため、同じ情報の重複入力が必要なくなります。リアルタイムに会社全体でデータ共有できます。
メリット②:積算見積システムとの連携で実行予算作成を自動化
工事台帳を管理するシステムの多くは、積算見積システムとの連携機能を備えています。石田データサービスの「こうじやさんシリーズ」は、積算見積で作成したデータを工事台帳として、見積データから実行予算を作成し、原価管理、請求書発行まで連携できます。
メリット③:工事台帳から集計できるので、帳票作成の工数を大幅に削減できる
デジタル化された工事情報は、簡単に集計や加工ができるため、帳票作成やデータ分析に活用できます。石田データサービスの工事原価管理システム「二の丸EXv2」には、工事台帳に登録されたデータを、工事経歴書や施工金額報告書の形式に自動的に変換する機能があります。工事台帳からの転記やExcelでの集計作業は不要になります。決算変更届や工事経歴書作成の作業が大幅に効率化されます。
メリット④:工事情報にリアルタイムにアクセスできる
クラウド対応のシステムを導入すれば、社外からでも工事情報を入力したり、参照したりすることができます。現場や自宅からでも工事情報の変更をアップデートでき、リアルタイムかつ正確なデータ管理が可能となります。また、事務処理のためだけに帰社する必要がなくなり、働き方改革への対応にも貢献します。
メリット⑤:日々のデータ分析が容易になる
デジタル化されたデータは、さまざまな切り口での分析を簡単にできるようになります。工種別、地域別、発注者別など、多角的な分析によって経営判断の質とスピード感が高められます。過去の工事データの活用で精度の高い見積作成や、工事別・取引先別の採算分析、実行予算による収益管理など、現場レベルから経営者の意志決定まで、役立つ情報を時間や労力をかけずに得られます。
<ここまでのポイント>
・工事台帳のデジタル化で、着工から完工、請求・入金にすべてのプロセスを一元化。
・決算変更届や工事経歴書作成などの作業が大幅に効率化される。
・現場レベルから経営者の意志決定まで、役立つ情報を時間や労力をかけずに得られる。
ITに弱くても大丈夫!デジタル化を成功させるポイント
工事台帳のデジタル化を検討する際、注意すべきポイントを解説します。技術的な部分はシステム会社がサポートしますので、社内にITに精通した人材がいなくても、これらのポイントをしっかり押さえておけば大丈夫です。
自社の現状にあったツールを選定する
一口に工事台帳のデジタル化と言っても、工事台帳に特化したシステムから、工事管理システムや工事原価管理システムに工事台帳が内包されているものなど、さまざまな機能や価格帯の製品が販売されています。多機能であるほど便利だと思ってしまいがちですが、使わない機能があることで使い勝手が悪くなってしまう場合があります。自社の業務フローや求める機能をマッチするツールを選ぶことが重要です。また、事業や工事規模も考慮する必要があります。
導入にあたって業務の棚卸を行い、課題を洗い出す
デジタル化に着手する際、まず現状の業務フローを見直し、非効率な作業や改善が必要なプロセスを特定することが重要です。これが「業務の棚卸」です。これにより、デジタル化の効果を最大限に引き出すことができます。逆に問題だらけの業務フローのまま、デジタル化を行うと、導入効果があがらなかったり、導入前より不便になったりする場合があります。
実際に使用する従業員の意見を吸い上げる
システムの選定基準が経営者の理想に偏りすぎると、実業務での使い勝手が悪くなる場合があります。
実際に使用する現場担当者や経理担当者の意見を吸い上げて、業務の棚卸を行うことで、現場が使いやすいシステムを選定することができます。従業員の理解と協力を得ることで、スムーズな導入が可能となります。
導入前後のサポートが重要
システムは導入して終わりではなく、毎日使い続けるものです。そのため、導入前後のサポート体制も重要な基準です。データ移行や運用開始後のトラブル対応など、メーカーのサポート体制や企業としての姿勢を確認しておくのも重要です。
<ここまでのポイント>
・自社の工事規模、業務フロー、必要な機能を踏まえて身の丈に合った製品を選ぶ。
・経営方針に偏りすぎず、現場の声を吸い上げて業務の棚卸を行う。
・データ移行や運用開始後のトラブル対応などサポート体制も要注意。
決算報告書作成が劇的にスムーズになる工事台帳のデジタル化
工事台帳をデジタル化すると、決算報告の作成に必要なデータ集計や帳票の作成が容易になり、業務効率が大幅に向上します。
工事原価システムで工事情報と工事原価を一元管理されることで、工事単位の収益が簡単に把握できるようになります。さらに工事ごとの収支をリアルタイムに把握できれば、キャッシュフローを正確に把握できる、長期的な視点を持てるなどのメリットがあります。その結果、受注・設備投資などの経営判断を的確かつスピーディに下せるようになります。
中小企業では、決算が締まらないと年間収支を把握できない会社もあるようです。しっかり利益が出ている場合は結果オーライですが、微妙な業績のときには「あの経費を使わなければよかった」「あの工事を受注していれば」といった後悔が生まれる可能性もあります。そうならないためには、四半期もしくは月単位、工事単位で収益を管理する必要があります。
石田データサービスの工事原価管理システム「二の丸EXv2」は決算変更届作成に必要な帳票作成機能を実装しています。決算報告の作業に多くの時間をとられているようでしたら、工事原価管理システムの導入を検討されてはいかがでしょうか。